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建設業の人材不足問題!その原因と対策を解説

By Claudia Thijs

3月 27th, 2023

Construction building at sunset

建設業は人材不足の一途をたどっており、ますます深刻化する問題を抱えています。

厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年1月分)」で有効求人倍率をみてみると、建築・土木・測量技術者が5.99倍、建設・採掘の職業は5.37倍です。全体平均は1.29倍と比較しても、建設業の人材不足が顕著に表れていることがわかります。
※出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年1月分)

本記事では、建設業における人材不足の原因と対策について解説します。ぜひご参考にしてみてください。

建設業における人材不足の原因

建設業における人材不足の原因として、以下の2点が挙げられます。

1. 少子高齢化による現役世代の減少
2. 建設業の需要拡大

1. 少子高齢化による現役世代の減少

人材不足の一番大きな原因は、少子高齢化による現役世代の減少です。

国土交通省の「最近の建設業をめぐる状況について」によると、建設業の就業者は1997年の685万人をピークに下降をつづけ、2021年は482万人にまで落ち込んでいます。そのうちの35.5%が55歳以上であるのに対し、29歳以下は12.0%しかいません。

若年層の3倍にものぼる団塊の世代のベテラン勢が、今後5年から10年の間に大量に現役引退すると見込まれています。2025年問題や2030年問題ともいわれ、これから人材不足はますます深刻化するでしょう。

技術継承もさることながら、まずは若年層を建設業界に呼び寄せることが最大の課題となっています。

※出典:国土交通省「最近の建設業をめぐる状況について

2. 建設業の需要拡大

現役世代の減少による人材不足にくわえ、建設業の需要拡大が人材不足に拍車をかけています。

国土交通省の「令和4年度(2022年度)建設投資見通し 概要」によると、2022年度の投資額は66兆9900億円の見通しで、前年と比較して0.6%の伸び率です。
※出典:国土交通省「令和4年度(2022年度)建設投資見通し 概要

2015年からオリンピック需要で上昇し続けていましたが、オリンピック後も大阪万博やリニア中央新幹線をはじめ、老朽化した社会インフラのメンテナンスや不足する高齢者施設など、建設業の需要は拡大する見通しです。

厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」によると、建設業における2019年3月卒業者の就職後3年以内の離職率は、大卒が28.6%、高卒は42.2%となっています。

全体平均は大卒が31.5%、高卒は35.9%のため、突出して悪い離職率ではありません。しかし、人材不足への対策が不十分であれば、拡大する需要に対して一人あたりの負担が高まり、離職率の上昇が懸念されます。

若年層を建設業界に呼び寄せるとともに、需要の拡大に対応できるよう長く活躍し続けてもらうことが重要課題となっています。

建設業における人材不足の対策

建設業における人材不足の対策として、以下の2点が望まれます。

1. 建設業界の待遇改善
2. ITやDXによる業務効率化

1. 建設業界の待遇改善

人材不足対策の筆頭は、就業希望者を増やすために建設業界の待遇を改善することです。

建設業は3K(きつい、汚い、危険)といわれることがありますが、その大きな理由として労働時間の長さと休日の少なさが挙げられます。

国土交通省の「最近の建設業をめぐる状況について」によると、2021年度の建設業の年間実労働時間は1978時間で、全体平均と比較して346時間多い結果となっています。

年間出勤日数は242日で、全体平均と比較すると30日多いです。建設工事全体では、技術者の36.3%が4週4休以下で就業しており、4週8休は19.5%しかいません。

国土交通省は「建設業働き方改革加速化プログラム」の一環として、長時間労働を是正するために適正な工期設定と週休2日制の導入を後押ししています。

また、知識や技能、就業経験などを登録できる「建設キャリアアップシステム」を導入し、スキルや実績にふさわしい待遇改善も図っています。

2. ITやDXによる業務効率化

もうひとつの人材対策として、少子高齢化の波にはあらがえないため、少ない人数でも現場を回せるようITやDXによる業務効率化が求められています。

国土交通省は、ICTなどを活用して建設現場の生産性を向上させる「i-Construction(アイ・コンストラクション)」を推進しています。

CIMと呼ばれる3Dモデルの活用および管理、ドローンによる3D測量、自動制御や操作補助が可能なICT建機による施工などが代表的な事例です。

また、図面や工程などの資料をクラウド化してタブレットで共有したり、監視カメラやウェアラブルカメラで現場をリモート管理したりすることでも業務効率化が図られています。

今後はさらにAIによる業務効率化も期待できます。建設業の人材不足はITやDXで解決されていくでしょう。

まとめ

建設業における人材不足の原因と対策について解説しました。

少子高齢化による現役世代の減少に、建設需要の拡大も重なることで、建設業は深刻な人材不足となっています。

就業希望者を増やすための待遇改善を図るとともに、少子高齢化の波にはあらがえないため、建設業の人材不足を解決するにはITやDXによる業務効率化が必要不可欠となるでしょう。